高分子モデリング用ライブラリ群「Rosetta」のご紹介

高分子モデリング用ソフトウェアライブラリ群「Rosetta」をご紹介いたします。

Rosettaは、多目的な生体分子モデリングタスクを達成するための、柔軟で機能性の高いライブラリ群です。

Rosettaについて

タンパク質構造、タンパク質設計、タンパク質ドッキング、タンパク質-DNAおよびタンパク質-タンパク質相互作用の理解に役立つ、多機能で多目的な高分子モデリングソフトウェアです。タンパク質配列、DNA、RNAなどから成る大規模なデータセットの解析にアルゴリズムや統計的手法を応用する計算生物学において、de novoタンパク質予測(デノボ)、酵素設計、リガンド・ドッキング計算、生体高分子および生体高分子の構造予測が可能です。

Rosettaは、大規模なデータセットだけでなく、小規模なデータセットまで幅広いスケールでの実験に活用できます。

Rosettaの開発について

Rosettaは、ワシントン大学のDavid Baker博士の研究室にてタンパク質の構造予測ツールとして始まりました。現在ではワシントン大学の枠を超え、 政府の研究所、研究機関、研究センター、パートナー企業など、RosettaCommonsのメンバーで開発が行われています。

The hub for Rosetta modeling software (Rosetta Commons)
https://www.rosettacommons.org/

 

主な特徴

Rosettaには、RosettaAbinitio (de novoタンパク質予測)、RosettaDesign (標的タンパク質のバックボーンに対する低自由エネルギー配列の同定) といった、複数の機能モジュールが含まれており、タンパク質、RNA、DNA、ペプチド、小分子、非正規アミノ酸または誘導体化アミノ酸などの 多様な生体分子系の予測、設計、分析を行うことができます。

Rosettaプロトコルの例

  • RosettaAbinitio: deno voタンパク質構造予測
  • RosettaDesign: 標的タンパク質のバックボーンに対する低自由エネルギー配列の同定
  • RosettaDock: タンパク質-タンパク質複合体の構造予測(モノマー)
  • RosettaDNA: 特定のDNA配列と相互作用するタンパク質の設計用
  • RosettaRNA: RNAのフラグメントアセンブリ
  • RosettaLigand: 小分子-タンパク質ドッキング
  • RosettaEnzdes: 酵素設計
  • RosettaMatdes: 材料設計 など

ほとんどのプロトコルのソースコードは C++ または Python、そのほかの言語で書かれており、Rosettaの柔軟な分子モデリングライブラリを使用して特定のモデリングタスクを実行します。これらのプロトコルは自己完結型として、あるいは、より複雑なタスクを達成するために連続で使用したり、異なるアプリケーションと組み合わせたり、連鎖させたりすることも可能です。

 

Rosettaアプリケーションの例

  • 構造予測: ループモデリング、RNAおよびRNA/タンパク質
  • ドッキング: 抗体、リガンド、ペプチドドッキング
  • 分子デザイン: 小分子、RNA、DNA、二次構造の設計
  • 膜タンパク質のモデリング
  • 分析: スコアリング、クラスタリング など

はじまりは タンパク質のアミノ酸配列からタンパク質の立体構造を解析すること(de novoタンパク質構造予測)でしたが、現在のアプリケーションは酵素の立体構造からアミノ酸配列を予測する酵素設計のように、広範囲に利用されています。

 

ライセンスについて

Rosetta には、学術、非営利、政府機関向けのアカデミックライセンス (Rosetta Academic License / 無償) と、営利団体向けの商用ライセンス(Commercial License) があります。ライセンス期間は、1年契約または4年契約のいずれかをご選択いただけます。

※Windows、Linux、macOS でご利用いただけます。