
画像解析を研究に活用されるお客様から、高解像度ラスタデータ・点群データ・衛星画像の解析に使用するワークステーションについて、ご相談をいただきました。
お客様が想定されている構成は下記の通りです。
・OS:Windows 11 Pro
・CPU:Core i9-14900K
・GPU:RTX PRO 4500 または RTX PRO 4000
・メモリ:128GB (32GB×4,DDR5-6000MHz)
・起動用SSD (OS/アプリ):2TB SSD M.2 NVMe Gen4
・処理用SSD (ラスタ・点群・衛星画像):U.2 SSD (PCIe 4.0) 7.68TB
・保管用HDD:HDD 8TB
上記の構成で各解析に必要な性能は十分とお考えであり、導入にあたり最適化や調整についてのアドバイスをご希望です。
解析処理の高速化と大容量データの安定運用を重視し、U.2接続SSDとGPUの性能をどちらも最大限発揮できる構成をご提案しました。
CPU | Intel Xeon W7-2595X 2.80GHz (TB3.0時 最大4.8GHz) 26C/52T |
メモリ | 合計128GB DDR5 5600 REG ECC 32GB x 4 |
ストレージ1 | 2TB SSD M.2 NVMe Gen4 |
ストレージ2 | 7.68TB SSD NVMe 2.5″ |
ストレージ3 | 8TB HDD S-ATA |
ビデオ | NVIDIA RTX PRO 4500 32GB |
ネットワーク | on board (2.5GbE x1 /10GbE x1) |
筐体+電源 | ミドルタワー型筐体 1000W 80PLUS PLATINUM |
OS | Microsoft Windows 11 Professional 64bit |
ストレージ性能が解析処理に与える影響
ラスタデータや点群、衛星画像などの大容量データを扱う解析処理では、GPUの性能だけでなく、ストレージの読み書き速度も処理効率に大きく影響します。
高性能なGPUを搭載していても、入出力の帯域が不足していると、システム全体のパフォーマンスが制限されてしまいます。
Core i9とU.2 SSDの組み合わせに潜む課題
今回は、「Intel Core i9-14900K」と「U.2接続のSSD (PCIe 4.0 x 4)」の組み合わせをご希望いただきました。
しかし、この組み合わせではPCIeレーン数の制約により、ストレージ側の転送速度を十分に確保することが難しい状況です。
Core i9-14900K は合計20レーン (PCIe 5.0 x 16、PCIe 4.0 x 4) に対応していますが、GPUが16レーンを使用するため、ストレージに割り当てられるのは残りの4レーンのみです。
NVMe M.2スロットであればCPUに直接接続できますが、U.2 SSDは一般的なマザーボードの設計上チップセットを経由するため、帯域が制限され、実効速度が大きく低下します。
その結果、SSDのシーケンシャル性能やランダムI/Oが低下し、処理時間の増加につながります。
Xeonによるボトルネックの解消と提案構成
この制約についてお客様にご説明し、ご理解をいただいたうえで、解決策として「Intel Xeon W7-2595X」をご提案しました。
Xeon W7-2595Xは最大64レーンに対応し、GPUとU.2 SSDをフル帯域で接続しても帯域不足が発生しません。
また、Xeon向けマザーボードでは、U.2 SSDをCPUが持っているPCIeレーンに直結接続できる設計が多く、拡張カード等を介さずに高速接続が可能となります。
これにより、GPUの演算力とSSDドライブのI/O速度を同時に最大限発揮できるため、処理の安定性とスループットが向上します。
大規模データセットを扱う場合でもパフォーマンスの低下を防ぎ、効率的な解析が可能になります。
このような分野で活躍されている方へ
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研究内容やデータの特性を伺いながら、最適な構成をご提案いたします。
将来的な拡張も含めた調整が可能ですので、導入をご検討の際はぜひご相談ください。
キーワード・ラスタデータとは ラスタデータは、グリッド状に並んだセルで構成され、各セルに数値や属性情報が格納されている画像データ形式です。 |
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