Niryo 社の 6軸ロボットアーム Ned をご紹介します

フランス Niryo 社製の教育・研究用ロボットアーム「Ned」について、ご紹介します。研究開発者向け海外製品調達サービス「ユニポス」で取り扱っている各種ロボットアームの中でも、小型のデスクトップタイプながらも6軸の関節を持つ自由度の高いロボットアームです。

本ページの後半では、Niryo のロボットアームがどのように教育や研究の現場で用いられているかのユースケース事例もご紹介しています。また弊社スタッフが Ned を実際に動かしている様子をご確認いただける紹介動画もYoutubeにて公開いたしましたので、ぜひご覧いただければと思います。

 

Niryo 社について

Niryo 社は 2016年、フランスの ISEN Lille 大学の卒業生であるエンジニア Marc-Henri Frouin氏 と Edouard Renard氏によって、協働ロボットに関連する教育と研究をサポートすることを目的に設立されました。

2017年には 最初のモデル Niryo One の開発の資金調達をKickstarter で行い、キャンペーン開始1日目にして目標金額を達成、最終的には目標金額の400%に達成し、世界中から大きな期待が寄せられました。そして 2年間の開発期間を経て、2018年に Niryo One がリリースされました。

その後、2020年にはNiryo のロボットアームでのピッキングシミュレーションに適したオプションアクセサリ Vision SetConveyor Belt をリリース、そして 2021年には最新モデル Ned をリリースしています。

テガラ株式会社は Niryo 社の認定リセラーとして、日本のユーザーさま向けに Ned や Niryo One 、これらに対応したアクセサリなどを販売しています。

 

Ned の特徴について

Ned の大きな特徴のひとつとして、6自由度のロボットアームであるということが挙げられます。3次元空間で自由自在に動くためには、「前後」「左右」「上下」「ピッチ」「ヨー」「ロール」の6自由度が軸数として最低限必要であるとされています (※関節の可動域による制限も生じます)。Ned は以下画像のような各方向への動きを実現する6軸の関節を持っているため、この6自由度分 柔軟に動かすことが可能です。

また教育用のロボットアームとして開発されていることもあり、手でNed本体を動かしその動作情報を記録する「ラーニングモード」 と、 Blockyベースのデスクトップアプリケーション「Niryo Studio」でのビジュアルプログラミングを組み合わせることで、簡単にNedを動かすことができます。もちろん、ROSやPython, C++でのプログラミングも可能です。

以下弊社にて作成した動画がございます。実際にNedがどのように動くのか、ぜひご参照ください。

【教育・研究用ロボットアーム】Niryo NED, a 6-axis robotic arm for industry 4.0 【レンタル機ございます】

 

 

Niryo One と Ned 、仕様の違いについて

上記で挙げた「6軸であること」「操作が簡単なこと」等の特徴は、Niryo One 、Ned の共通事項です。初代モデル Niryo One と比べ、最新モデル Ned は以下のような点で仕様が向上しています。

 
モデル名 Niryo One Ned
本体構造 3Dプリンタ製 アルミニウム構造
再現性 再現性 : 1.0mm 再現性 : 0.5mm / 精度 : 0.5mm 
接続方式 – Ethernet
– WIFI: 2.4 GHz Range 802.11n
– Bluetooth 4.1: 2,4 GHz ; 2,5 mW (4 dBm)
– USB
– Ethernet 1 Gb/s
– WIFI 2.4GHz & 5GHz – 802.11 g/g/n/ac
– Bluetooth 5.0 BLE
– USB
ハードウェア Raspberry Pi 3 Raspberry Pi 4
アプリケーション Niryo One Studio Niryo Studio

 

Niryo ロボットアームのユースケース

ここでは、Niryo のロボットアームが、世界中の教育分野、研究開発分野、および 職業訓練分野で活用されているユースケースをご紹介します。

※ Ned は2021年1月発売の新製品のため、ここでは前モデルNiryo One に対するユースケースをご紹介します。

教育分野でのユースケース

フランス University of Bourgogne での事例

2019年のはじめ、仏 ブルゴーニュ大学 の Patrick NGUYEN 氏は 彼にとっての最初の1台となる Niryo One を購入し、教育および学習に対するその大きなポテンシャルに気付きました。

そして2019年の半ばには、ブルゴーニュ大学は 2020年1月に開始する “Initiation to robotics” と呼ばれるコースのために、12台のNiryo One を注文しました。現在では 14台のNiryo Oneと、Industory 4.0 の設計に最適なキット Conveyor と Set Visionを 購入しています。

これは彼らの考えるNiryoを用いたプログラム、およびより多くのNiryo One と Niryoのアクセサリやカリキュラムが必要とされることになる、開校予定の新たなロボット工学の学校の、まだスタート地点でしかありません。

フランス ISEN Lille University での事例

仏 ISEN Lille 大学 の Service Robotics Team の代表 Annemarie KOKOZY氏は、彼の生徒(大学院)にロボット工学を教えるために5台のNiryo Oneを使用しています (以下コメント)。

「Niryo One は生徒たちのロボット工学の理解を助けるのに完璧なロボットです。そのとても直感的なプログラミングインターフェースのおかげで、生徒たちはロボットマニュピレーションのユースケースについて学ぶことができ、またプログラミングとロボティクスコミュニケーションを学ぶことができます。

これは生徒たちに『もっと学びたい』と思わせるのに理想的な製品です。そのため、私たちはNiryo One をクラスの最初の年から最後の年まで使用しています。」

【参考】ISEN Lille 大学における、インテリジェンス倉庫のためのロボティックデモンストレーター動画

Robotic Demonstrator for Intelligent Warehouse

 

研究開発分野でのユースケース

機械学習

Amazon AIの機械学習エンジニア Anton Chernov 氏は、2台のNiryo Oneを Amazon Robotic demonstrator に使用しています。その目的は、Deep Neural network(DNN)を使用して Amazon Web Service をリアルなアプリケーションに接続することです。

参照:The Learning Robot
https://medium.com/apache-mxnet/the-learning-robot-1c2deab8f375

フィーディングロボット

米国 カーネギー・メロン大学(※) でのコンピュータサイエンスの博士候補 Travers Rhodes 氏は、Niryo One を彼の博士号のために使用しています。彼はロボットに対しより最適なビジュアルフィードバックを組み込むことで、上肢の障害を持つ人々向けのスプーンフィーディングロボットの堅牢性を向上することに挑戦しています。

http://www.traversrhodes.com/

※カーネギー・メロン大学は複数のランキングにおいて、ベストロボット工学大学のTOP1としてランキングされています

参照:Best Robotics Colleges
https://successfulstudent.org/best-robotics-colleges/

Induxtory 4.0 ロボティクス

Ericsson, Hungary は、5G IoTデモンストレーター構築のために10台のNiryo Oneを購入しました。そのゴールは、Industory 4.0 ロボティクスのための最適なネットワーク環境を発展させることです。

https://twitter.com/WestMids5G/status/1171440281675165696

職業訓練分野でのユースケース

ドイツ鉄道での事例

ドイツ鉄道 Deutsche Bahn(DB)では、 職業訓練の研修者がNiryo One を用いてマネジメント、プログラミング、そしてAIを学ぶ試みをしています。DBは52台のNiryo Oneを、専門資格の生徒のために購入しました。DBの研修生であるKevin氏は Industory 4.0 の設計に最適なキット Set Vision を、Niro One と併せて使用することにより、 AIについてのプログラミングと学習を行うことができました。

プロジェクトマネージャーのMarcel Hasler氏は、Niryo One を用いることでロボットプログラミングや操作の方法を学ぶだけでなく、研修者が 「後にテクノロジーがどういった場面で使用されることになるかについての初期の感覚」を養うことができると語っています。

参照:Trainees program robotic arms from the 3D printer
https://starkeschiene.training/robotiks

 

その他にも、VolkswagenRENAULTCESI Ecole d’Ingénieurs 等でもNiryo One は活用されています。

「Ned を試しに使ってみたい!」

弊社の「研究開発者さま向けレンタルサービス tegakari」では、無料でNedのデモ機を貸し出しています (レンタル期間:1週間)。実際にお手元でご利用いただくことにより、Ned の自由な使用感を体感いただけますので、ぜひレンタルサービスをご活用いただければと思います。

詳細は以下のページをご覧ください。