【特集記事】SDGsでも注目!ICT(情報通信技術)と顔認証

今日までに世界中のスマートフォン(スマホ)ユーザーの数は30億人を超えており、今後数年間でさらに数億人増加すると予測されています。スマホのユーザー数が最も多い国は中国、インド、米国と続き、それぞれの国のユーザーマークはゆうに1億人を超えています。人口比率は異なりますが、日本の人口1.2憶と比較するといかに多くの人が使っているのかが分かります。

このように生活に密接となったスマホはユーザビリティが追及され機能や性能がますます向上しています。機器そのものの技術革新に加え、高速・大容量、低遅延、多数同時接続が可能な5G(通信技術の進化)の登場により、私たちの生活に関わるサービスもさらに進化する可能性があります。

今回は「人々の生活」と「情報」の結びつきの中でユーザビリティが高くスマホでも取り入れられている生体認証(バイオメトリクス認証)、「顔認証」をピックアップします。

 

 

生体認証とは?

本人を特定する技術には大きく「知識認証」「所有物認証」「生体認証(バイオメトリクス)」の3種類があります。そのうちの「生体認証」は、誰もが持つ人の特徴でありながら決して他の人と同じ特徴を持たない身体的・行動的特徴をもとに個人を認証する技術です。指紋、顏(全体)、虹彩(眼)、耳形(耳介)、声紋、静脈、掌紋、行動的生体認証などさまざまな種類があります。

なかでも「顔認証」の用途は幅広く、インフラ、各サービス提供上のセキュリティや組み込み用途など、さまざまな潜在的なアプリケーションに反映されています。もちろんプライバシーの問題やセキュリティ等の懸念事項はありますが、スマートデバイスや最新のカメラが設置されている場所であればいかようにも統合できる可能性を秘めています。

いかに素早く正確に特定の個人を認識し、Society5.0の発展とともに多様化・拡大する手続きやサービスの内容や性質に応じていくか、「顔認証」は今後の情報社会(デジタル社会)の発展においてひとつの鍵といってもいいのかもしれません。

Society5.0 を見据えた個人認証基盤のあり方について(総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000560721.pdf

 

顔認証 (Facial Recognition)とは?

顔認証(顔認識)システム(Facial Recognition System)は、コンピュータビジョンの一分野です。監視カメラなどのデジタル画像から人の「顔」に関する情報を見つける「顔検出」と、顔のデータから欲しい情報を読み取る「顔認識」から成り立っています。

AIソフトウェアによる顔認識が主流です。画像から得られた様々な情報は、生体認証アルゴリズムによって画像を点の配列に変換し、さらに数字に置き換えられます。その数字を基に、例えば明暗→人→目、鼻、口などへ細分化されます。あらかじめコンピュータに蓄積された大量のデータは機械学習によってパターン化されており、それらのデータと照合し求められた条件の解を返します。事前にモデルケース(必要条件)を設定することで様々なサービスへ転用できます。

双子などを含む一部の条件で判別が難しいとされており、顏認証の精度はまだ完全とはいえません。しかしながら人間と同等ともいえる識別能力を持つAI機械学習が進むことにより、今後ますます識別率が向上することも予想されます。

 


アメリカ国立標準技術研究所(NIST)の調査(FRVT, 顔認証ベンダーテスト)

システム開発メーカー(ベンダー)は、テストのために顔認識アルゴリズムをNISTに自発的に提出し、顔認識ベンダーテスト(FRVT, Face Recognition Vendor Test )に役立てています。2020年11月30日にフェイスマスクによる顔認識精度を公開しました。各ベンダーの顔認識の精度は年々向上していることが分かります。

FRVT Face Mask Effects
https://pages.nist.gov/frvt/html/frvt_facemask.html

 

どんな用途で使用されているの?

顔認証は「ユーザー本人」の持つ特長が判別の対象となるため、パスワードやID、クレジットカード等の 失念・紛失・盗難といったリスクと比較すると多少なりともセキュリティ面で優れているといわれてます。またユーザーの精神的な負担が少ない「非接触型生体認証」であり、かつ消費者向けデバイスに簡単に導入できる点もメリットと考えられています。身近な例としてはスマホなどのモバイル機器でのロックの解除や決済、モバイルアプリへのサインイン、企業やホテルなどの入退室管理やコンサートなどのイベントに活用されています。

 

ソフトインフラ関連

シンガポールでは、2020年10月に国として初めて身分証明書に顔認証を導入しました。政府機関との電子取引の際に求められるログインID「SingPass(シンガポール版マイナンバー)」の認証システムに「顔認証」が統合されたことにより、確定申告などの本人証明を「顔」で行えるようになりました。今現在は年金(CPF)、公共住宅(HDB)、NS(兵役)のなど限定的なサービスで、それぞれのアプリで生体認証またはパスコードを使用して利用されています。

 

セキュリティ関連

世界中の法執行機関でも生体認証ソフトウェアを使用してCCTV映像の顔をスキャンし人物を特定しています。空港では「顔認証ゲート」の運用を拡大し、旅行者の身元を確認するために使用しています。

このような顔認識技術を監視に取り入れることは過去10年間で一般的になりつつあり、監視目的での使用を認めている国は109か国となっています。人間の顔の画像を分析し特定するコンピュータプログラムが取り入れられることにより、犯罪者だけでなく迷子になった子供を見つけることにもつなげています。

 


顔認識による監視の現状について(参考)
Surfshark社のサイトでは、194か国の顔認識技術の状況に関するデータが公開されています。世界中の顔認識監視の現状をよりよく理解することができます。

Mapped: The State of Facial Recognition Around the World
https://surfshark.com/facial-recognition-map

 

コロナウイルス感染症対策

顔認証は特定の個人を判別するだけに収まりません。昨今の新型コロナウイルス感染症のパンデミックによりマスク着用が「ニューノーマル」となっていますが、「マスク着用」の識別に顔認識技術が取り入れられています。

店内入口に設置されたカメラ経由でマスクの着用を確認し、着用が把握できない場合には声をかけるなどの対策に利用されています。マスク着用に限らず、特定の条件を設けられる可能性もあることから、多様化するサービスへの対応へも期待が高まります。

 

そのほかのサービス

細かなニーズとしては、コロナウイルス感染症の対策では「マスクを着用していない人」の判別に対し、ニューノーマルである「マスク着用」した状態での本人認証の需要も高まっています。入退出の管理から体調管理までヘルスケアに顔認識技術を取り入れたサービスも存在しています。

またカメラの前を通過して収集した顔認証のためのデータには消費者行動を把握できる情報も含まれており、小売マーケティング業界での需要拡大が期待されています。いち早く消費者の情報を取得し、ユーザーのニーズにあったサービスの提供ができれば、人・コト・モノを繋ぐうえで素晴らしいことかもしれません。

 

顔認証の課題「なりすまし」

サイバー攻撃に「なりすまし(Spoofing、スプーフィング攻撃)」というものがあります。「顔認証」においては、登録時や認証時などに発生するとされており対策が必要と考えられています。顔認証システムの導入を検討される際には、どのような対策が必要なのかも確認するとよいでしょう。

なりすましの種類

2D紙の写真とデジタル画像、高解像度のビデオ、目と口の切り欠きのある紙のマスク、ハリウッドで利用されるような特殊マスク、蝋人形、リアルな人形、ビデオプロジェクション、目を閉じて眠っているユーザー、そっくりさん、ドッペルゲンガーなど

 

上記のほか顔認証方法(生体認証装置を含む)に対するなりすまし攻撃(Presentation Attacks)の対策も重要で、自動的にこれらを検出する研究も活発化しています。

3D顔認証プロバイダーFaceTec社では、標準化されたバイオメトリクスプレゼンテーション攻撃検出(PAD)テストにより、個人情報を保護します( 共有不可能、フィッシング不可能、事実上スプーフィング防止など)。生体認証システムにおける標準化されたなりすまし攻撃の検出とその重要性、さらには顔認証技術に対するなりすまし防止基準の認定を受けることの意味についてホワイトペーパーにて説明しています。

Standardized Testing for Biometrics(参考)
https://www.zoomlogin.com/FaceTec_PAD_Testing_Whitepaper.pdf

 

顔認証向けのカメラやソフトウェア

顔認証ソリューション開発キット 3DiVi Face Recognition SDK

3DiViの高速で非常に正確なアルゴリズムを利用した、顔認識ソリューションのAPIおよびソフトウェア開発キットです。リアルタイムにビデオや写真を処理し、ヒトの顔の検出、分析、検索を実施します。

主な特長
-人間の顔を検出、分析、検索する
-リアルタイムのビデオまたは写真処理
-オンプレミス、クラウド、エッジ、または組み込みプロセス

3DiViの開発するアルゴリズムは、NISTの実施する顔認証技術ベンチマークテストにおいても、世界で最高ランクのアルゴリズムとの評価を受けており、マスクを着用した際の認識性能もとても高いです。詳細は動画をご確認ください。

3DiVi Face SDK | Face recognition with a mask

 

 

Intel RealSense ID Camera

Intel RealSense ID は2021年1月にインテル社よりリリースされた「顔認証」に特化したカメラです。RealSense ID シリーズは、深度センサと特殊なニューラルネットワークを組み合わせており、クレジットカードよりさらにコンパクトな筐体でありながら、 顔認証に必要なセキュリティ、プライバシー、信頼性があり、認証速度にも優れています。

安全で正確な顔認証を行えることから、あらゆる場所、あらゆる人を対象とするさまざまなアプリケーションに役立ちます(例えばスマートロック、POSキオスク、ATM、自動販売機、アクセス制御など)。

※このソリューションは、子供から背の高い大人まで(カメラの設置地点から55cmの距離で高さ120cmから190cmの範囲)をサポートします。また暗闇から強い日光までの認証が可能となっており屋内外で利用できます。

※Intel RealSense ID Solution F450, F455Datasheet
https://dev.intelrealsense.com/docs/intel-realsense-id-f450-module-and-f455-peripheral

顔認証用カメラIntel RealSense ID  Cameraには、届いて直ぐに使用できるF455 Peripheral (カメラ本体、ケーブル、三脚などが揃ったキット)と、組み込み向けのF450 Moduleの2つのラインアップがあります。ただいまプレオーダー中でメーカー出荷予定は3月を予定しております。弊社にてお取り扱いいたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

※2021年3月8日追記:
RealSense ID F455 Camera Peripheral が入荷しました。在庫あり、即納です。

 

 

Vzense DCAMの顔認証 ToF方式のデプスカメラ

Vzense Technology 社製のToF (Time-of-Flight)方式のデプスカメラには、コンピュータの作業負荷の軽減による「速さ」、 PII(個人識別情報)の保護に最適な「安全性」、優れた距離精度による「正確さ」といった特徴があります。顔認識や行動分析(人数カウントシステム)などに役立ちます。


Vzenseを使用したアプリケーション(顔認証)の例

– FaceID認証
ToFデプスカメラで顔の3Dデータを取得、正確かつ効率的なライブ識別ができます

– スマートホーム
3D情報を使用した正確な顔認識と生活パターンにより、ドアロックの安全保護レベルを引き上げられます

– アクセス制御ゲート
3D顔認識技術を取り入れることで、人手をかけることなく重要な場所でのアクセスゲートマシンの高い安全性と安定性、および高効率を備えたインテリジェント制御が可能となります。

– セキュリティ監視
人の移動軌跡を終日監視し、その動的な情報をリアルタイムで把握することで、セキュリティをより効率的かつ迅速に強化します。

 

 

LIPSedge  ToF方式のデプスカメラ

AR/VR、ゲーム、マシンビジョン、医療検出、顔認識、室内の三次元計測、ドローンや自動車への搭載など、室内/室外での様々な用途が想定されたToF方式のデプスカメラです。Windows, Linux, Androidといったマルチプラットフォームにも対応しており、産業およびエンタープライズアプリケーションに適用できます。

また、1つのユニボディでデスクトップ、ウォールマウント、スタンド、回転式改札口といったシームレスな変換ができる万能フリップデザインをコンセプトとする LIPSFace AC770 のように、インテル社のRealSenseテクノロジーとOpenVINOツールキットによって、約0.3秒の超高速な非接触での認証を実現しているモデルもあります。

Intel RealSense Camera  D400シリーズ
インテル社のRealSense D400シリーズ向けのRealSense SDK 2.0 と、OpenCV やOpenVINOなどの他のソフトウェア プラットフォームと組み合わせることで顔認識などの機能を実現しています。SDK2.0は絶えず更新され続けているため、将来的には「ミドルウェア」ソリューションが出現する可能性があります。

Introduction to the Intel Distribution of OpenVINO toolkit with the Intel RealSense Viewer
https://www.intelrealsense.com/realsense-openvino/

LIPS社のLIPSFace™ AI Facial Recognition(顔認識システム)では、3Dのシングルフェイスの認識のためのSDK(SW500)と、2Dのマルチフェイス認識のためのSDK(SW200)が用意されていますので、アプリケーションに応じて選択できます。

LIPSFace AC770 Ultra-fast 3D AI Facial Recognition Experience

 

 

まとめ

生体認証を必要とする業界は、セキュリティ、医学、銀行や公共機関のサービス、マーケティングリサーチ、および個人識別など様々です。今回顔認証」を取り上げましたが「生体認証技術」の注目度はとても高く、2021年の生体認証技術の未来と動向 (2020年11月10日発表)でも、世界中の人々の日常生活の一部に急速になりつつあると発表されています。モバイルデバイスとの統合を通じて、私たちの多くは毎日何らかの形の生体認証とやり取りしています。今後私たちの生活にどのような関わり合いが生まれるのか楽しみな分野といえます。

The Future of Biometric Technology and Trends in 2021
https://recfaces.com/articles/biometric-trends

 

弊社(テガラ株式会社)ではToFカメラやデプスカメラを、一つからお取り扱いしております。
また量産等のご相談も承っております。
国内の流通経路が分からない場合でも取り扱い可否を調査をしてご案内しております。
「このメーカーの販売しているこのソフトウェア/ハードウェアが欲しい!」といったご要望も、ぜひお気軽にお問い合わせください。