
細胞分子工学の研究に携わるお客様より、ワークステーション導入をご相談いただきました。
グライコプロテオミクス解析を数千検体レベルで実施するため、複数の解析ソフト (MSFragger-glyco、Byonic、Glyco-Decipher、pGlyco3、Mascotなど) を並列実行できる高性能なワークステーションをお求めです。
1つの LC-MS データを複数のソフトウェアで同時に解析する運用を想定されており、最低限の構成とおすすめ構成の2案での提案をご希望です。
お客様のご要望を踏まえて、想定のソフトウェアでの解析のために必要な、最低限のスペックを満たした構成 (エントリー構成) と推奨スペックの構成 (おすすめ構成) をご提案しました。
本事例では、推奨スペックを満たしたおすすめ構成をご紹介します。
CPU | Intel Xeon 6787P 2.00GHz(TB 3.80GHz) 86C/172T x 2基構成 |
メモリ | 合計1TB DDR5 5600 REG ECC 64GB x 16 |
ストレージ | 4TB SSD M.2 NVMe Gen5 |
ビデオ | NVIDIA RTX A400 4GB (MiniDisplayPort x4) |
ネットワーク | on board (10GbE x2) |
筐体+電源 | タワー型筐体 1500W 80PLUS PLATINUM |
OS | Microsoft Windows 11 Professional 64bit |
CPUとメモリの強化による並列処理性能の最大化
お客様が使用予定の各ソフトウェアに対して、以下のスペックが必要および推奨される要件です。
コア数:16~32コア
メモリ:16~128GB
マルチコア性能:並列処理に対応可能
GPU:アクセラレーターなし(機械学習処理は対応)
OS:Windows環境
Intel Xeon 6787P(86コア×2基)と1TBの大容量メモリを搭載し、PC-TS2J253515構成(48コア×2基、512GBメモリ)と比較して、コア数・メモリ容量ともに約2倍に強化しています 。
これにより、1ソフトあたり32コア・200GBメモリの割り当てが可能となり、5本の解析ソフトを同時に最大性能で稼働させることができます。
特に、Byonicなどの高負荷ソフトを複数同時に動作させる場合でも、処理待ちやスワップの発生を抑え、解析効率を大幅に向上させます。
ストレージと拡張性について
ストレージには4TBのM.2 NVMe Gen5 SSDを採用し、大容量の解析データも高速に読み書き可能です。
PCIeスロットやM.2スロットも複数備えており、将来的なGPU追加やストレージ拡張にも柔軟に対応できます。
GPUの選定と用途のバランス
GPUにはNVIDIA RTX A400を搭載していますが、今回の用途ではGPU負荷は限定的であるため、コストバランスを考慮した選定となっています。
機械学習や画像処理などGPU依存の処理が増える場合には、RTX 5090などへのアップグレードも可能です。
事例No.PC-TS2J253515との違いについて
PC-TS2J253515構成は、1ソフトあたり16コア・100GBメモリの割り当てを想定した「最小限のエントリー構成」であり、並列処理の安定性とコストバランスを重視した設計です。
一方、PC-TS2J253516構成は、より大規模な解析や高負荷処理を想定し、最大限の性能を引き出すための「拡張性重視の構成」となっています。
処理速度そのものは大きく変わらないものの、同時に扱えるデータ量と解析規模において明確な差があり、将来的な研究展開を見据えた選択肢として位置づけられます。
使用したいソフトウェアや今後の方針に応じて、柔軟なカスタマイズに対応しております。初期相談からカスタマイズまで、お気軽にお問い合わせください。
キーワード・Byonicとは
・MSFragger suiteとは ・Glyco-Decipherとは ・pGlyco3とは ・Mascotとは
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