Autodock Vina・GROMACS用ワークステーション

薬学研究に携わるお客様より、分子シミュレーションを行うPC導入に関するご相談をいただきました。
使用予定ソフトは Autodock Vina(または vina-gpu)および GROMACS で、OS は Ubuntu を希望されており、CPU は Intel Core を中心に検討しつつ、AMD Ryzen 構成も選択肢に含めて比較されています。
メモリは 32GB を基本とし、64GB への増設による性能向上の程度についても確認を希望されています。

CPU AMD Ryzen9 9950X3D 4.30GHz(Boost時最大5.70GHz) 16C/32T
メモリ 合計32GB DDR5 5600 16GB x 2
ストレージ1 1TB SSD S-ATA
ビデオ NVIDIA GeForce RTX5070 12GB
ネットワーク on board(2.5G x1) Wi-Fi,Bluetooth
筐体+電源 ミドルタワー型筐体+1000W 80PLUS PLATINUM
OS Ubuntu 24.04

CPUについて

今回の構成では、AMD Ryzen 9 9950X3Dを採用しました。
GROMACSはCPUのL3キャッシュを多用するため、キャッシュ容量が処理性能に大きく影響します。
Ryzen 9 9950X3Dは128MBのL3キャッシュを搭載し、OpenBenchmarking.orgのGROMACSベンチマークでは高い処理性能を記録しています。

参考:GROMACS Benchmark – OpenBenchmarking.org

そのため、分子シミュレーション用途における計算効率の最大化を目的として、本構成に採用しました。
一方で、既存の運用環境との親和性やコストの観点などから Intel Core Ultraシリーズをご希望の場合には、そちらをベースとした構成もご提案可能です。
用途やご要望に応じて、最適な環境をご案内いたします。

GPUの選定について

GPUにはNVIDIA GeForce RTX 5070を選定しています。
使用予定のソフトウェアであるvina-gpuとGROMACSは、CUDA対応GPUによる計算加速に対応しており、RTX 5070はその要件を満たしています。
Ubuntu環境での安定動作も確認されているため、GPUアクセラレーションを活用する構成に適しています。

メモリの増設について

本構成は32GBメモリを搭載していますが、用途や状況によっては64GBへの増設が効果的です。
以下のようなケースでは、増設により処理性能や安定性の向上が期待できます。

・32GB環境でメモリ不足からスワップが発生し、処理が遅くなっている場合
・Autodock VinaやGROMACSの複数ジョブを同時に動かしている場合
・メモリ不足のため計算を分割して実行している場合

これらのケースでは、64GBへの増設により処理速度や安定性が向上し、本来の性能を引き出すためのボトルネック解消策として効果が期待できます。

ただし、64GBに増設することで必ず解決するとは限りません。
実際の計算に必要なメモリ容量は、使用するソフトウェアやデータサイズ、並列実行数によって大きく異なります。
導入前には、現在のご使用状況やメモリ消費量の確認をおすすめします。
ご不明点や具体的な構成のご相談は、ぜひテガラまでお気軽にお問い合わせください。

このような分野で活躍されている方へ

  • 創薬研究
  • 計算化学
  • 分子生物学
  • 薬理学
  • バイオインフォマティクス

テガラのオーダーメイドPC製作サービスは、導入時の用途に加え、将来的な研究規模の拡大を見据えたシステムの拡張にも対応しています。
各種ソフトウェア要件に応じた構成のご提案はもちろん、研究環境全体の構築に関するご相談も承っています。
お客様のニーズに合わせて最適なソリューションをご提供しますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

キーワード

Autodock Vinaとは

AutoDock Vinaは、分子ドッキングとバーチャルスクリーニングに特化したオープンソースソフトウェアで、創薬や構造生物学の研究者に広く利用されています。
高速・高精度な計算を実現する最適化アルゴリズムに加え、マルチスレッド対応やシンプルな操作性も特長的です。
オープンソースソフトウェアのため、コストをかけずに自由に使うことが出来、企業・大学問わず多様な研究現場で活用が進んでいます。

参考:GitHub – ccsb-scripps_AutoDock-Vina ※外部サイトに飛びます

vina-gpuとは

vina-gpuは、Autodock VinaのGPU対応版として開発された、分子ドッキングをGPUの並列処理で高速化するソフトウェアです。
AutoDock Vinaと比べて最大65倍以上の高速化が可能で、大規模なバーチャルスクリーニングを効率的に実施できます。インストール不要のGUIも提供されており、専門知識がなくても直感的に操作できる点も特長です。

参考:GitHub「vina-gpu-2.0」 ※外部サイトに飛びます

GROMACSとは

GROMACSは、数十万~数百万原子規模の分子動力学シミュレーションを高速に実行できるオープンソースソフトウェアです。
GPUやマルチコアCPUを活用した高度な並列計算に対応し、大規模かつ長時間の解析も効率的に行えます。また、AMBERやCHARMMなど多様な力場をサポートし、幅広い分子系に柔軟に対応可能です。

参考:GROMACS Official Website ※外部サイトに飛びます

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