【特集記事】科学技術実験・プログラミングなど 理数系学習向け教育キット – 高等学校教育でも活躍

■こちらは、2020年10月15日に投稿された記事のため、情報の内容が古い可能性があります。

米国をはじめとした海外では、IT化やグローバル化の進むこれからの世界で活躍する人材の育成を目指し、STEM (Science, Technology, Engineering and Mathematics) 教育の考え方が、早くから取り入れられていました。

日本でも2020年に小学校、2021年には中学校でのプログラミング教育が必修化、また2002年からは高等学校教育の現場で、科学技術や理数系の教育を重視する教育方針を取り入れた高等学校を、SSH (スーパーサイエンスハイスクール) として認定するなど、独自の制度を設けています。

プログラミング教育 / 文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1375607.htm
スーパーサイエンスハイスクール(SSH)/ 文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/gakkou/1309941.htm

これらの取り組みは、科学技術や理数系に強い人材の育成を意図しているだけでなく、論理的思考の能力を育成していくという狙いがあるとされています。またそのための学習手段として、工学やプログラミングなどの理数系分野の技術をベースにした教育キットが多くのメーカーから販売されています。

今回は、そんな理数系学習向けとしてユニポスでも人気の高い教育キットを、高等学校向けを中心に(※)ご紹介します (※ 実際に高等学校のユーザーさまからお問い合わせのあったものを中心に)。

 

神経科学を学ぶ、Backyard Brains社製品

神経科学は自然科学の一分野とされていますが、最近では 脳波の検出などを通じて脳 とコンピュータを接続する技術 BCI (Brain-Computer Interface) など、工学的分野からも注目を集めています。専門的な分野が故に、初等中等教育の現場ではなかなか学ぶ機会を得ることが難しいこの分野に対し、「神経科学を誰もが扱えるものにする (democratize neuroscience)」というビジョンを掲げ、教育向けキットを開発してきたのが 米国の企業 Backyard Brains 社です。

The Heart and Brain SpikerBox

Heart and Brain Spiker Boxは、自身やクラスメイトの心電図 (EKG) や 脳波 (EEG)を表示・記録することのできるキットです。小型ボードと接続した電極を身体に貼り付けることで、スマートフォンやタブレットなどの画面にリアルタイム表示することができます。

例えば
運動する前と後では心電図にどのような変化が生じるのか、
目を閉じた際に脳波にはどのような変化が生じるのか、など
実験を通し学ぶことができます。

Backyard brains 社のWEBサイトでは、イラストが多用されわかりやすい、実験実施のための資料も多数用意されています (英語)

Backyard brains Neuroscience Experiments for Everyone
https://backyardbrains.com/experiments/

他にもBackyard Brains社の「ユニーク」なキットを動画でご紹介します

Huma-Human Interface
筋肉信号を利用し、「他者の腕を動かす」実験

Human Human Interface – Generation 2

 

The Claw
自身の腕の筋肉の伸縮により、ハサミ型のデバイスで物を掴む/離す 実験

The Claw in Action!

 

なおBackyard Brains社 創設者のひとり、Greg Gage氏 によるTED動画では、Backyard Brainのデバイスが使用されています。 TED動画はこちら ↓
Greg Gage | Speaker | TED

自動運転を学ぶ、Donkey Car Starter Kit

Society 5.0 でも重要な技術として掲げられる「自動運転」。その仕組みを学ぶことのできるキットが Donkey Car Starter Kit です。

「Donkey Car」は、ラジコンカーなどの小型自動車向けのオープンソースのDIY自動運転プラットフォームです。このDonkeyCarと小型カメラを搭載したラジコンカーを操縦し、走行に関する情報を蓄積、それらにより作成した学習モデルをAIに学習をさせる(DeepLearning)ことで、ラジコンカーの自律運転を可能にします。

Passing Behavior

自律運転で、前を走るラジコンカーを追い越して (Passing) 走るDonkey Car の様子 (0:10 ごろ)

Donkey Car Starter Kitは、プラットフォーム Donkey Carの動作確認がされたラジコンカーや Raspberry Pi (小型ボード)、Raspberry Pi に対応したカメラ、組立て用のパーツなどがあらかじめセットになっており、すぐに使える入門セットです。なお動画では床にテープを貼ったコースを走行させていますが、ビニールシートにコースが印刷された、折り畳んで収納が可能な「Standard Stack」もございます。

もう一つ、自動運転を学ぶことのできるキットとして「Duckietown」もご紹介します。
こちらは、弊社スタッフによる紹介動画がございますので、ぜひご参照ください。

【住人がアヒルの街でAI・自動運転を学ぶ】Duckietown 紹介編【大学での教育・研究向け】

※こちらはレンタルサービス「レンタルテガカリ」でもデモ機を貸し出ししております

映像制作を通しプログラミングに触れる、TouchDesigner

教育”キット”とは異なりますが、高等学校所属のユーザーさまから実はお問い合わせの多いのが、プロジェクションマッピング用ソフトウェアです。

「プロジェクションマッピングが理系学習??」と思われるかもしれませんが、今や広く認知されるプロジェクションマッピングは、プログラミングに触れるツールとしても親しみやすいものだといえます (文化祭でプロジェクションマッピングをやってみたい!なんていう声もよく聞かれます)。また、芸術の分野でもコンピュータグラフィックが浸透している昨今、冒頭に上げた STEM教育に Art (芸術)を加えた、「STEAM 教育」というキーワードも一般的になっています。

こちらの TouchDesigner は、プロジェクションマッピングをはじめ、インタラクティブ・ビジュアライゼーション、イベントでの照明コントロールなどを実現する、ビジュアル開発プラットフォーム です。独自のノードベースのビジュアルプログラミングが採用されており、コードを書く必要が無く、作品を作り上げることができます。教員/学生向けのEducational 版があることもポイントです。

Intro to TouchDesigner for Projection Mapping – Elburz Sorkhabi

TouchDesigner を利用した、プロジェクションマッピング作成の様子

プロジェクションマッピングツールとして世界でもシェアの高いソフトウェア MadMapper も、取り扱っております。こちらもユニポスでもお問い合わせの多いソフトウェアです。

その他教育向け製品

ロボットアーム

各メーカーの販売するデスクトップ型ロボットアームには、教育向け用途として、ロボットアームを直接手で動かしてその動きを学習させる機能 や、カラフルなブロックを組み合わせて動作指示を構築するビジュアルプログラミング言語 Blockly などを利用することで、手軽にロボットアームを操作することができるような仕組みが導入されているものが多くあります。

(左から、Niryo One / uArm Swift Pro / Dobot Magician)

ユニポスで取り扱いのあるデスクトップ型ロボットアームの一部を以下のページでまとめております。よろしければご参照ください。

SBC (シングルボードコンピュータ)

教育向けのシングルボードコンピュータとして有名なのが「Raspberry Pi」です。教育現場でのプログラミング学習やIoT開発向けに、英国 Raspberry Pi Foundationにより開発されています。Raspberry Pi については、メーカーによる素晴らしい紹介動画が用意されていますので、ぜひこちらをご覧ください。

What is a Raspberry Pi?

※設定(歯車マーク) から字幕を日本語に切り替えることができます

なお、最新版は Raspberry Pi 4 となります。

まとめ

子どもたちが実験を通して「科学技術っておもしろい」と親しみを持つことができるよう、世界中の各メーカーから日々趣向を凝らした製品が発売されています。

ユニポス未掲載の製品でも、「これも取り扱えるだろうか?」と、ご希望の製品をお知らせいただけましたら、入手の可否をお調べしお見積りいたします。ぜひ、お気軽にお問い合わせくださいませ。