2025年10月に開催されたRA協議会 年次大会(熊本大会)において、文部科学省がオーガナイザーとなり、「研究時間の確保」と「研究開発マネジメント人材のキャリアパス」をテーマとしたオーガナイズドセッションが行われました。
テガラ株式会社 TKS事業部は、研究支援サービス・パートナーシップ認定制度 (A-PRAS)認定事業者としてこのセッションに登壇し、研究支援サービスの現場視点からディスカッションに参加しました。
本記事では、文部科学省より公開予定の公式レポート内容をもとに、テーマのひとつである「研究時間の確保」についてを中心に、A-PRAS の今後の方向性と、私たちTKS 事業部が現場で感じた課題・展望をお伝えします。
RA協議会について
一般社団法人リサーチ・アドミニストレーション協議会(略称:RA協議会)は、日本で唯一、リサーチ・アドミニストレーション業務の向上を目指すみなさまが集う団体です。我が国の研究力強化を進める大学等の各組織が取り組んでいるリサーチ・アドミニストレーション組織の定着と展開を図るべく、全国的に組織されたRA協議会は、現在では、42の組織会員と、850名あまりの個人会員、10組織の賛助会員を集めるまでになっています(2024年9月現在)。
– RA協議会WEBサイトより抜粋 : 一般社団法人リサーチ・アドミニストレーション協議会
RA協議会 年次大会 (熊本大会) 開催概要
- 開催日時・場所 : 令和7年10月21日 (火) ~22日 (水) @熊本城ホール
- 大会テーマ : 「グローバル連携とローカル貢献:URAの戦略的アプローチ」
- 大会WEBサイト : リサーチ・アドミニストレーション協議会 第11回年次大会
セッションの概要
セッションタイトル :
研究支援サービスが拓く新たな可能性 ~研究時間確保と研究開発マネジメント人材のキャリアパス~
登壇者には、文部科学省、複数のA-PRAS認定事業者、大学URA代表者が並び、「学内支援」と「学外支援」がどう協働して研究環境を高めていくかという視点で議論が交わされました。
以下は「研究時間確保」のテーマに関する TKS 事業部の発表要約です。
「思考時間」を取り戻すために──TKSの支援事例
TKS事業部からは、「研究に集中する時間をいかに確保できるか」という視点から、環境デザイン系研究室に導入したフィラメントリサイクル装置(Filabot)の事例を紹介しました。

本来、研究の本質は【考える・検証する】部分にあります。しかし現場では、機器の選定・調達・初期設定・トラブル対応といった準備作業に数週間から数か月を要するケースも少なくありません。
TKSでは、装置の調達や設置だけでなく、素材生成条件の事前評価やレシピ作成まで実施し、納品直後から研究を開始できる環境を整備しました。
こうした「研究のスタートラインまでのアウトソーシング」によって、研究者の【思考の時間】を取り戻し、すぐにコアな研究に入ることができる、──この成果が最も大きな価値だと考えています。
ディスカッションで見えた課題と方向性
「研究者がやらなくてもよいこと」を、どう切り離すか
パネルディスカッションでは、研究時間に含まれる作業を「① 研究者しかできないこと」「② 研究者以外でもできること」「③ 研究者以外の担当者がやったほうがよいこと」に分ける視点が共有されました。
① 研究者しかできないこと
担当者 : 研究者本人
研究の核心部分。仮説の構築、実験設計、データの解釈、論文執筆など
② 研究者以外でもできること
担当者 : 学内事務、URA (University Research Administrator)、助手など
書類手続き、スケジュール調整、一般的な事務作業など
③ 研究者以外の担当者がやったほうがよいこと 【第三の領域】
担当者 : 民間研究支援事業者、技術支援部門、専門技術者など
機器構築、環境設定、セットアップ、研究機材の統合など、「研究のための前提づくり」
研究の成果を生むために不可欠ではあるけれども、研究者以外の担当者がやるべき、準備・構築・最適化の工程を担う「研究支援サービス」は、まさに③の【第三の領域】を担う存在といえます。
しかし現行の科研費制度では、このような【第三の領域】のサービス利用費用が明確な経費区分として存在しておらず、「機材購入費」に含めて利用する必要があるなど、制度的な制約が多く、研究者が外部支援を利用しづらい現状も浮き彫りとなりました。
TKSの提言とA-PRASへの期待
支援導入費を正当に扱える制度へ
→ A-PRASが「つながるプラットフォーム」へ進化することを期待
今後は、研究支援サービスの導入や環境構築にかかる費用を、「機材購入費」とは別枠で扱えるような制度的な整備(研究支援導入費・アウトソース費)が求められます。
また、A-PRASが単なる認定制度にとどまらず、大学・URA・民間事業者をつなぐプラットフォームとして機能することで、研究支援がより使いやすく、透明なものになっていくと考えています。
テガラとしても、研究支援の現場で得た知見を還元し、研究者が【研究に専念できる社会】の実現に向けて貢献していきます。
テガラ株式会社 TKS 事業部について
TKS 事業部は、研究開発者さまがすぐにご利用を開始できるよう最適な構成で構築、事前に各種検証や設定まで実施された ターンキーシステム (TurnKey System) をご提供しております。研究機器・設備の調達から設置、初期設定、導入後のサポートまでをワンストップで提供する体制を整えていることが特長です。
研究現場の多様な要望に応える柔軟な対応力と、煩雑な手続きや作業負担を軽減する包括的な支援により、研究者が本来の業務に専念できる環境づくりを支援します。
テガラ株式会社 TKS事業部 公式サイト
テガラが掲げる「研究開発を加速するお手伝い」という理念のもと、TKS 事業部は、研究者の皆様が本来の研究に専念できる環境づくりをミッションとしています。
引き続き、政府や他の認定企業の皆様との連携を深めながら、科学技術の発展に貢献してまいります。
関連リンク・クレジット :
![]() テガラ株式会社 TKS事業のサービスは、文部科学省の「研究支援サービス・パートナーシップ認定制度 (A-PRAS) の認定サービスです。 本記事に対するお問い合わせや TKS 事業部へのお問い合わせは、以下ボタンよりお気軽にお寄せ下さい。 |

